カンボジア ポル・ポト時代を描いたNetflixオリジナル作品を見て

ポル・ポト時代のカンボジアを舞台にしたNetflixオリジナル作品である、『FIRST THEY KILLED MY FATHER』がとても面白かったので紹介したいと思います。この作品は事実に基づいた物語になっています。

 

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あらすじ

この作品の主人公は、プノンペンに住む裕福な家庭で育った小学生くらいの少女です。描かれている時代はクメール・ルージュが政権を取る少し前から、その支配が終わるまでの間になっています。この政権下で、少女がどのような生活を送り、どのような事をさせられたのかを知ることができます。

本や博物館からでは知ることのできない雰囲気や生活の様子を映像として知るとこができるとても貴重な作品になっていると思います。

 

感じた事、思ったことなど

ここからはネタバレも含みます!

この作品はクメール・ルージュプノンペン入城の少し前から始まります。主人公である少女の父親は政府の役人であり、その家族はとても裕福な暮らしをしていました。内戦が続いていたカンボジアにおいて高価な時計や車の保有をしているなどからその様子が伺えます。しかし、この幸せな暮らしは4月17日を境に一変します。

 

クメール・ルージュの入城を、当時のプノンペン市民は歓迎しました。これは、何年も続いた内戦の終焉を市民が喜んでいたためです。ところが、入城の直後、市民は皆地方の田舎へと追い出されてしまいます。「3日すれば戻って来れる」と言われ、必要最低限の荷物を持って市民は移動をしました。このとき地方に強制移住させられた人たちを新人民と呼びます。主人公の家族も、自分たちの身分を隠しながら移住をしました。過去の身分がバレてしまったら殺されてしまうからです。

 

主人公家族ははじめ、田舎にいた親戚を頼って暮らしていたのですが、そこにも長くはいることができずキャンプでの集団生活をすることになります。この集団生活で印象的だったのは次の二つのシーンです。

一つ目は、父親がオンカーに連れて行かれるシーンです。それがどのような罪で連れて行かれたのかはわかりませんでしたが、実際当時の人々はそのように理由もわからず連行される人が多かったのだと思います。連れて行かれた後はありもしない罪の供述をさせられ、その後キリングフィールドで処刑をされたのでしょう。

二つ目は、病院のシーンです。当時医者は知識人であることから、多くが処刑されていました。そのため、病院では正当な治療を受けることができず、塩水やウサギの糞のような薬を与えられるだけでした。この作品でも、汚れたジュースの瓶から点滴をされている様子が描かれています。当時の「医者」は、4ヶ月ほどのトレーニングのみを受けただけで、子どもの「医者」も多くいたようです。また、病人にはあまり食べ物も与えられず、その結果「病院」へと送られることはほぼ死を意味していました。

 

その後、主人公とその幼い兄弟は別のキャンプへ移動します。さらにその後、主人公は移動部隊と呼ばれるような、ベトナムとの戦闘地域近くで作業する部隊へ移動となります。この移動部隊にいる間に地雷を埋める作業や戦闘訓練などをしているシーンがあります。この移動部隊には小学生ほどの子どもが多くいました。文章で読んで知っていても、映画のシーンとして実際に子どもたちが働いているのを見ると胸が痛みます。

 

本作品の最後では主人公とその兄弟はベトナム兵により保護されます。多くの家族を失いましたが、兄弟と再会することができたのがせめてもの救いだったのでは無いでしょうか。

 

おわりに

カンボジア旅行で、キリングフィールドやトゥールスレンに行く方はその前にぜひ見て欲しいです!現地での説明がすんなり入ってくるようになると思います。